【解剖学】トレーナーが知っておくべき『胸郭』の構造と基礎知識
今回はトレーナーが知っておくべき『胸郭』の構造と基礎知識について解説します。前回までの記事で「骨盤」と「脊柱」をテーマにお伝えしました。胸郭は、脊柱と骨盤とも構造的かつ機能的な繋がりがありますので関連付けて理解しておくと良いかと思います。
「胸郭の構造がイマイチわからない…」「胸郭の機能を知りたい」というトレーナーやインストラクター、指導者の方は、是非最後まで読み進めて下さい。
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『胸郭』の構造と基礎解剖学
胸郭は、胸椎(12個)と肋骨(24個)と胸骨(1個)の計37個の骨で構成されています。胸郭の中には、心臓や肺などの大事な臓器があります。これらの臓器を保護する役割をはじめ、身体の機能面でも非常に重要な役割を担っている部位のひとつです。
胸椎と肋骨の間には「肋椎関節」、肋骨と胸骨の間には「胸肋関節」という関節があります。
肋骨の上位7対は肋軟骨を介して胸骨に連結(真肋)していて、下位5対は上の肋骨に連結(仮肋)して繋がっています。下位肋骨の中でも、一番下の第11・12肋骨は末端が浮遊(浮肋)しています。
※上位(Th1-6)中位(Th7-10)下位(Th11-12)で分けることもある。
胸郭の周辺には、大胸筋や腹直筋、内・外腹斜筋、脊柱起立筋群、小胸筋、前鋸筋、内・外肋間筋、上後鋸筋、横隔膜などのたくさんの筋肉が付着しています。
胸郭の運動パターン
胸郭の運動パターンは、大きく分類すると上位胸郭(Th1-6)と下位胸郭(Th7-12)での動きに分けることができます。
上位胸郭(Th1-6)は、胸骨付近が後ろに回旋するような「後傾」と、前に回旋するような「前傾」の動きを行います。ポンプのハンドルのような動きをすることから「ポンプハンドルモーション」と呼ばれています。
下位胸郭(Th7-12)は、外側に拡がるような「拡張」と、内側に締まるような「閉鎖」の動きを行います。バケツのハンドルのような動きをすることから「バケツハンドルモーション」と呼ばれています。
呼吸)胸郭の動き | 上位胸郭 | 下位胸郭 |
呼気 | 前傾 | 閉鎖 |
吸気 | 後傾 | 拡張 |
この胸郭の運動パターンは、呼吸時にとても大切な役割を果たす構造です。吸気時には上位胸郭の後傾と下位胸郭の拡張が行われ、呼気時には上位胸郭の前傾と下位胸郭の閉鎖が行われるのが通常の運動パターンです。
胸郭の下には、胸腔と腹腔を分けるように位置する「横隔膜」があります。横隔膜の呼吸機能にとても重要な役割を果たしていて、胸郭の動きとも密接な繋がりがあります。
『胸郭』の機能・役割
胸郭は、心臓や肺などの大事な臓器を支えて保護しています。呼吸機能とも深い関係があります。また、多くの体幹筋群の付着部となるため、身体機能面・運動機能にも重要な役割を担っています。
『胸郭』の評価(触る/診るポイント)
まずは胸郭を評価する上で大事なランドマーク(特定の目印)について理解しておきましょう。ランドマークが触診する際のポイントになります。
[box06 title=”胸郭のランドマーク”]
- 胸骨上端・肩甲棘(第3胸椎)
- 胸骨下端(第9胸椎)
- 左右の肩甲骨の下角(第7胸椎)
- 左右の肩甲骨の上角(第2肋骨)
- 剣状突起
[/box06]
このように胸骨や肩甲骨のランドマークを基準に触診などを進めていきます。
胸郭の前方にある胸骨を基準に胸骨の上端ラインと同じ高さに位置する「第3胸椎棘突起」、下端ラインと同じ高さに位置する「第7胸椎棘突起」がわかります。
また、後方からは胸郭と繋がる肩甲骨を基準に肩甲骨の上角ラインと同じ高さに位置する「第2肋骨」、下角ラインと同じ高さに位置する「第7胸椎棘突起」がわかります。
通常、歪みが少ない場合、上記のランドマーク通りに近い位置になりますが、猫背や巻き肩、反り腰など…姿勢の歪みが強いケースでは、位置がズレていることがあります。
このようなランドマークを上手く活用することで触診や姿勢の歪みのひとつの指標・目安にすることができます。
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正しい知識を身につけて最適なアプローチを!
パーソナルトレーナーや指導者である以上、解剖学は必ず勉強しておくべき分野のひとつです。
胸郭は、多くのスポーツ競技動作の場面ではもちろん、一般の方にとっても、呼吸や肩・腕を動かす動作場面で重要な役割を果たす部位です。
一方で胸郭の動きが悪くなっていたり、機能不全している人も多いので、日々ストレッチやコンディショニングで整えることも大事です。
目の前のクライアントや選手に対して、身体の構造に基づいた正しいアプローチを目指していきましょう。