トレーニングには、効率性を高めるための基本的な考え方としてトレーニングの原理・原則があります。一般の人にもスポーツ選手にも、身につけてほしいトレーニングに関する知識です。
パーソナルトレーナーやS&Cコーチ、アスレティックトレーナーなどの有資格者の方であれば、必ず知っておくべき知識です。トレーニング経験者の方でも聞いたことがある人も多いと思います。
トレーニングの原理・原則を「知っているか」「知っていないか」では、トレーニングのプログラム内容にも大きな違いが出てくると思います。
実際にトレーニングを実践して効果を実感している人は、トレーニングの原理・原則に基づいた内容で実践していると思います。(知っている・知っていないは別として)
原理・原則と聞くと難しい話のように感じるかもしれませんが全く難しくありません。
今回は初めての方にも伝わるようにわかりやすく、トレーニングの原理・原則について解説したいと思います。
目次
トレーニングの原理・原則

トレーニングの原理(3つ)
過負荷の原理(オーバーロード)
過負荷の原理とは、普段身体に対して加わっている「負荷よりも負荷を与えることが必要である」という原理です。
日常生活の時間がほとんどの人にとっては、「日常生活レベル」の負荷が基準になります。スポーツ選手であれば、その「スポーツ・競技レベル」の負荷が基準レベルになります。トレーニングにおいて適切な効果を得るためには、それらの普段日常生活やスポーツ中に加わっている負荷よりも高くなければいけません。
そして、人は環境に適応する能力が備わっているため、トレーニングでも同じように一定期間トレーニングを実践することで負荷に慣れていきます。
トレーニング負荷に慣れてきたら、さらに負荷を増やして取り組んでいくことが必要になります。
過負荷の原理に考慮しながら、トレーニングの負荷設定(種目、重量、セット数、秒数、テンポ、休息時間…)を決定して進めていくことが大切です。
可逆性の原理
可逆性の原理とは、得られたトレーニングの効果も「トレーニングを止めてしまうと元の状態に戻ってしまう」という原理です。
トレーニングやスポーツ経験者のほとんどの人たちが一度は経験したことがあることだと思います。
スポーツを引退した後の身体能力や競技スキルの状態も同様です。スポーツ選手も引退した後や中・長期的な休暇をとったあとは、身体の動かしにくさや能力の低下を肌身で感じると思います。
要は、しっかりと「計画的に続けていくことが大切」ということです。そのためには続けられるように環境を整えたり、続けることで得られるメリットを知り、思考を身につけることが必要です。
特異性の原理(SAID)
特異性の原理とは、身体にトレーニングの負荷・刺激を与えると、その負荷・刺激に対して特異的な適応が起こるという原理です。
これをダイエットやボディメイクの効率性を高めるために当てはめると、現状の身体の状態に対して必要なことを見極めて実践する手段・方法を決定して進めていくことになります。
ダイエットを目的とする人が運動量が足りていない(消費エネルギー量が不足)のであれば、有酸素系の運動やサーキット系のトレーニングなども組み合わせてプログラムしていくことが必要になるかもしれません。
特異性の原理を正しく当てはめていくためには、現状の身体の状態を知り、目標地点に対して逆算し、「何をすべきか」を知ることが大切です。

トレーニングの原則(5つ)
漸進性の原則
漸進性の原則とは、能力の向上とともに負荷・強度を少しずつ段階的に高めていくことで効率性を高める原則です。
現状の身体の状態・能力に見合った負荷設定を常に心がけていきながら、適切な負荷を与えていけるようにしていきましょう。
反復性(継続性)の原則
反復性の原則とは、トレーニングは継続的に反復的に続けていくことが期待している効果を得ることができるという原則です。
運動能力を高めるにしても、筋肉量を増やすにしても、1日や2日で効果を実感できる訳ではありません。より計画的に一定の期間繰り返し、継続していくことが必要不可欠です。
実践し始めの1〜2ヶ月くらいの間にトレーニングを習慣させることが中・長期的に続けるためのポイントです。また常にトレーニングに意義を持つこと、意図・目的を持った上で取り組むことも非常に大切なポイントの一つです。
全面性の原則
全面性の原則とは、様々な体力要素やフィジカル能力を総合的に高めていくという原則です。
上記の例で言うと、上半身を鍛えるだけじゃなく、下半身も鍛えることで上半身の筋肉量増加を促すことができたり(下半身は面積の大きい筋肉が多いため)バランスが整うことでカラダ全体の見た目が良くなることに繋がります。
※トレーニングを実践する内容や種類については、個人の自由です。いくら上半身や下半身の筋肉量のバランスが乱れようが、持久力をつけずに瞬発的な能力を伸ばそうが最終的には、トレーニング実践者の決めることです。
ただ目的によっては、この全面性の原則を考慮することで更なるトレーニングの効果を引き出すこと、より安全に効果的に実践することに繋げることができる可能性があります。
偏ったトレーニング内容で実践されている人でも全面性の原則を理解した上でどのような運動プログラムを組んで実践していくか一度考えてみてくださいね。
個別性の原則
個別性の原則とは、トレーニング実践者の性別や年齢、身長、体重、運動能力、健康状態、トレーニングの目的など個人差を考慮した上でプログラムを組み立てるという原則です。
より効率的に、より安全に期待している効果を実感していくには、一人一人の身体の状態やトレーニングの目的に寄り添った運動計画を立てて進めることが大切なポイントです。
意識性の原則
意識性の原則とは、トレーニングの「目的や意図すべきことを理解して、意識する」という原則です。
トレーニング実践者が「なぜ、そのトレーニングを実践しているか?」を理解することはとても大切です。トレーニングの目的を理解して実践することでトレーニングに意義を見出すことができ、効率性や継続性を高めることに繋げていくことができます。
一般の人やスポーツ選手が運動する場合においても、身体の正しい知識や構造について理解することでより高いパフォーマンスを実現することができると思います。
トレーニングの原理・原則のまとめ

- トレーニングの生産性を高めるために「3原理・5原則」を理解する
- 過負荷の原理「日常生活で加わっている負荷より負荷をかけてトレーニングすること」
- 可逆性の原理「トレーニングを止めてしまうと元の状態に戻ってしまう」
- 特異性の原理「トレーニングに対して、その負荷に対する特異的な効果を得ることができる」
- 漸進性の原則「トレーニングの負荷は、体力の向上とともに段階的に少しずつ上げていくこと」
- 反復性の原則「トレーニングは計画的に反復的に続けていくこと」
- 全面性の原則「体力要素や身体能力をバランス良くトータルに鍛えること」
- 個別性の原則「個々の体力レベルや目的にに合わせてトレーニングプログラムを組み立てること」
- 意識性の原則「トレーニングの目的を理解した上でトレーニンを実践すること」
今回の記事は、少し長くなってしまいましたが最後までご覧頂き、ありがとうございました。トレーニングや身体について何かご質問や相談があれば、気軽に公式LINEやメール、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。





