【解剖学】トレーナーが知っておくべき『広背筋』の役割と基礎知識
今回は解剖学シリーズということでトレーナーが知っておくべき『広背筋』の役割と基礎知識について解説します肩関節や脊椎などの機能的な構造を理解する上で必ず知っておきたい知識のひとつです。
広背筋とは?
広背筋は腰背部の筋群の中では、最も表層に位置する筋です。広背筋は比較的薄いですが、腰背部を広範囲で渡って付着しており、非常に面積の大きい筋です。
主に上肢のプル動作の際に機能する筋ですが、体幹や骨盤の動きにも作用します。上部線維と下部線維の2つの線維があり、それぞれの筋線維が強調して機能する動きは異なってきます。
広背筋|起始・停止・支配神経・作用
広背筋は、第6胸椎〜第5腰椎の棘突起と正中仙骨稜、腸骨稜後方、下部肋骨、肩甲骨の下角から起始している筋です。上部の起始部では、僧帽筋より深層に位置する走行で棘突起に付着しています。
停止は上腕骨の小結節稜です。背骨と骨盤付近から上腕部にかけて走行することから、肩関節や体幹の動きに作用することがわかると思います。
広背筋 Latissimus Dorsi Muscle |
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起始 | 第6胸椎〜第5腰椎の棘突起、正中仙骨稜 腸骨稜後方、下部肋骨、肩甲骨下角 |
停止 | 上腕骨の小結節稜 |
支配神経 | 胸背神経 |
作用 | 肩関節の伸展と水平外転 肩関節の内旋と内転、体幹の側屈 骨盤の引き上げ(上肢固定) |
広背筋の筋連結
広背筋は、胸腰筋膜を介して対角線上にある大殿筋と筋連結しています。筋の停止部では、大円筋と連結しています。また、外腹斜筋や下後鋸筋とも連結しています。
広背筋の機能的な役割
広背筋の主な作用は、肩関節の伸展動作です。筋の作用は、上部線維と下部線維でそれぞれ強調して働く作用が異なります。上部線維は肩関節の水平外転と伸展動作にて強調して作用し、下部線維は肩関節の内転と体幹側屈で強調して作用すると言われています。
下部腰椎や仙腸関節の安定性、力の伝達に関与する「胸腰筋膜」の機能を向上するためにも、広背筋は大事な役割を果たしています。
広背筋は胸腰筋膜を介して大殿筋とも連結しているため、股関節の機能にも関係していると考えられます。
広背筋のトレーニングとストレッチ
広背筋を強化する筋力トレーニング
①ワンハンドロウ
②ベントオーバーロウ
広背筋を伸ばすストレッチ
①広背筋スタティックストレッチ
②プレッツェル2.0
正しい知識を身につけて最適なアプローチを!
パーソナルトレーナーやインストラクター、指導者である以上、解剖学は必ず勉強しておくべき分野のひとつです。
目の前のクライアントや選手に対して、身体の構造に基づいた正しいアプローチを目指していきましょう。解剖学に関する記事は、他にもアップしているので気になる方は是非チェックしてみて下さい。