【解剖学】トレーナーが知っておくべき『大腿四頭筋』の役割と基礎知識
今回は解剖学シリーズということでトレーナーが知っておくべき『大腿四頭筋』の役割と基礎知識について解説します。股関節・膝関節の機能的な構造を理解する上で必ず知っておきたい知識のひとつです。
大腿四頭筋とは?
大腿四頭筋|構成する4つの筋と特徴
大腿四頭筋は、大腿直筋と中間広筋と内側広筋と外側広筋の4つの筋で構成されます。それぞれの筋は違う部位から起始して、膝蓋腱に収束して脛骨に停止します。身体の中でも大きい筋(大筋群)に分類されます。
大腿直筋|起始・停止・作用・支配神経
大腿直筋は骨盤の下前腸骨棘(AIIS)と寛骨臼上縁に付着し、脛骨粗面に停止するような流れで走行しています。大腿四頭筋の中では唯一、股関節と膝関節を跨ぎます(多関節筋)。
大腿直筋 Rectus Femoris |
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起始 | 下前腸骨棘(AIIS) 寛骨臼上縁 |
停止 | 脛骨粗面 |
支配神経 | 大腿神経 |
作用 | 膝関節の伸展 股関節の屈曲 |
中間広筋|起始・停止・作用・支配神経
中間広筋(VI)は大腿四頭筋の中で最も深層に位置(大腿直筋の下に位置)する筋です。
中間広筋 Rectus Femoris |
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起始 | 大腿骨近位2/3 |
停止 | 脛骨粗面 |
支配神経 | 大腿神経 |
作用 | 膝関節の伸展 |
内側広筋|起始・停止・作用・支配神経
内側広筋(VM)は内側広筋長頭(VML)と内側広筋斜頭(VMO)と2つの線維があります。
内側広筋斜頭は大腿四頭筋腱より内側に位置し、膝蓋骨の50〜55°の角度で付着しています。内側広筋長頭も大腿四頭筋腱より内側に位置し、膝蓋骨に15〜18°の角度で付着しています。
内側広筋の斜頭線維の膝蓋骨を斜めに引っ張る作用は、膝蓋骨を安定させることに大きく貢献しています。
内側広筋 Vastus Medialis |
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起始 | 大腿骨粗線の内側唇 |
停止 | 脛骨粗面 |
支配神経 | 大腿神経 |
作用 | 膝関節の伸展 |
外側広筋|起始・停止・作用・支配神経
大腿四頭筋の中で最大の断面積を有している筋です。内側広筋と同じく、外側広筋長頭(VLL)と外側広筋斜頭(VLO)と2つの線維があります。
外側広筋長頭(VLL)は大転子、外側広筋斜頭(VLO)は外側筋間中隔という部位から起始していると言われています。
外側広筋 Vastus Medialis |
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起始 | 大腿骨粗線の外側唇 |
停止 | 脛骨粗面 |
支配神経 | 大腿神経 |
作用 | 膝関節の伸展 |
大腿四頭筋の筋連結
大腿四頭筋はそれぞれの筋が他の部位の筋と繋がっています。中間広筋は大殿筋と大腿二頭筋と、内側広筋は大内転筋と恥骨筋と長内転筋と短内転筋と、外側広筋は大殿筋と大腿筋膜張筋と中殿筋と大腿二頭筋と大腿方形筋と連結しています。
大腿四頭筋の機能的な役割
大腿四頭筋は日常生活動作の立つ、座る、しゃがむというような動き、スポーツ動作の跳ぶ、走る、止まるなどの動きの中でとても重要な役割を果たしています。
大腿四頭筋は等尺性収縮により膝関節を安定させ、求心性収縮によって膝関節の伸展方向へ脛骨または大腿骨を加速させ、遠心性収縮によって膝関節の屈曲を減速(制御)させます。
大腿四頭筋のトレーニングとストレッチ
大腿四頭筋を強化する筋力トレーニング
①レッグエクステンション
②スクワット
③スタガード・ゴブレットスクワット
大腿四頭筋を伸ばすストレッチ
①大腿四頭筋スタティックストレッチ
②ハーフニーリング大腿四頭筋ストレッチ
③プレッツェル1.0
正しい知識を身につけて最適なアプローチを!
パーソナルトレーナーやインストラクター、指導者である以上、解剖学は必ず勉強しておくべき分野のひとつです。
目の前のクライアントや選手に対して、身体の構造に基づいた正しいアプローチを目指していきましょう。解剖学に関する記事は、他にもアップしているので気になる方は是非チェックしてみて下さい。