【機能解剖学】トレーナーが知っておくべき『腰椎骨盤リズム』とは
腰椎骨盤リズム(Lumbopelvic Rhythm)とは
今回は、トレーナーであれば必ず知っておくべき知識『腰椎骨盤リズム(Lumbopelvic Rhythm)』について解説したいと思います。
まずは、腰椎骨盤リズムとは何かについて簡単に解説したいと思います。
腰椎骨盤リズムとは、腰椎と骨盤・股関節の運動学的関係のことを表す言葉として使われていて、主に矢状面上での屈曲・伸展の動作時に使われています。
肩関節にも同じように「肩甲上腕リズム」という運動学的関係があります。その構造と似たようなものです。
『前屈』動作時にみられる腰椎骨盤リズム
先述したように腰椎骨盤リズムは、腰椎と骨盤・股関節の動作の関係を表すものです。矢状面上の動作、つまり屈曲と伸展の動作時にみられるわけです。
立位姿勢から行う前屈の動作時には、大腿骨上に位置する骨盤が前傾するような動きで前屈が行われます。通常では、骨盤の前傾の動きと同時に腰椎も屈曲します。この骨盤と腰椎が共に動く関係を腰椎骨盤リズムといいます。
前屈動作|正常な骨盤の前傾・腰椎屈曲
立位姿勢から前屈動作を行う際に正常な動作であれば、ハムストリングスが十分に伸張した上で骨盤が前傾(股関節の屈曲)し、同時に腰椎も綺麗なカーブを描くように屈曲します。身体に負担の少ない、理想的な前屈動作です。
前屈動作|骨盤前傾が不足しているケース
代表的な不良動作の一例として「骨盤の前傾が不足している」ケースが挙げられます。この不良動作(腰椎骨盤リズムの乱れ)の主な原因は、ハムストリングスの伸張性が不足していることが考えられます。
前屈時に骨盤の前傾する角度が不足してしまうと、代償動作として腰椎の過度な屈曲が行われやすくなります。
腰部の過度な屈曲・伸展は「腰痛」の原因に
股関節の屈曲動作が不足している状態で、より前屈動作を行おうとした際には腰椎・下位胸椎の屈曲が大きく必要となります。
脊椎の過剰な屈曲は、その領域の後方組織が過伸張してしまうため、弱くなってしまい、結果的に屈曲に対する抵抗する能力が低下することに繋がってしまいます。
腰椎の過度な屈曲や伸展は、腰部の椎間板や椎間関節に対してのストレスを増加させてしまい、腰痛の原因にも繋がってしまいます。
腰椎骨盤リズムにおける股関節の屈曲や伸展(骨盤の前傾や後傾)+腰椎の屈曲や伸展のバランスが重要となります。
腰椎を動かさずに「骨盤前傾・股関節だけを屈曲させれば良い」という訳ではないということです。
正しい知識を身につけて最適なアプローチを!
パーソナルトレーナーやインストラクター、指導者である以上、解剖学や運動力学などの基本知識は必ず勉強しておくべき分野のひとつです。今回お伝えした腰椎骨盤リズムについても身体の基本構造を理解する上で大事な知識の1つです。
目の前のクライアントや選手に対して、身体の構造に基づいた正しいアプローチを目指していきましょう。解剖学に関する記事は、他にもアップしているので気になる方は是非チェックしてみて下さい。