【バレーボール】ジャンプ力を高めるトレーニングとコンディショニング
バレーボールでは、スパイクやブロックで高く跳ぶ力だけでなく、素早い切り返し、安定した着地、肩を大きく動かすための可動性など、さまざまな身体能力が必要です。
しかし、競技練習やジャンプ練習を繰り返すだけでは、十分にパフォーマンスが伸びないこともあります。
大切なのは、選手の身体や課題に合わせて、次の要素をバランスよく高めることです。
- 筋力
- 瞬発力・ジャンプ力
- 柔軟性・可動性
- 着地・切り返し能力
- 疲労管理・コンディショニング
この記事では、バレーボール選手に必要なトレーニングとコンディショニングについて、チーム指導の経験と研究結果をもとに解説します。
この記事を書いている藤元大詩は、アスレティックトレーナー、日本トレーニング指導者協会公認トレーニング指導者として、一般の方からジュニア・大学生・競技選手まで、累計1万セッション以上のトレーニング指導を担当しています。
バレーボールに必要な身体能力
バレーボールでは、次のような動作が繰り返されます。
- スパイクやブロックで高く跳ぶ
- 短い距離を素早く移動する
- 急停止して方向を切り替える
- ジャンプ後に安定して着地する
- 腕を頭上へ挙げてボールを打つ
- 長いラリーや試合でも動きの質を保つ
そのため、「脚を鍛える」「ストレッチをする」といった一つの取り組みだけでは不十分です。
筋力、スピード、可動域、動作スキルを競技動作につなげることが重要になります。
1.ジャンプの土台となる筋力を高める
高く跳ぶためには、短い時間で大きな力を地面に伝える必要があります。その土台になるのが、下半身を中心とした筋力です。
おすすめの種目として、次のようなトレーニングが挙げられます。
- スクワット
- ルーマニアンデッドリフト
- ブルガリアンスクワット
- スプリットスクワット
- カーフレイズ
- ヒップスラスト
スクワットやデッドリフトで大きな力を発揮する能力を高め、片脚種目で左右それぞれの筋力と安定性を鍛えます。
ただし、重い重量を持ち上げられるだけでは、ジャンプ力に十分つながらないことがあります。獲得した筋力を素早く発揮するトレーニングも必要です。
2.プライオメトリクスで瞬発力を高める
プライオメトリクスとは、筋肉や腱が伸ばされた直後に縮む仕組みを利用した、ジャンプやバウンド系のトレーニングです。
代表的な種目には、次のようなものがあります。
- カウンタームーブメントジャンプ
- スクワットジャンプ
- ポゴジャンプ
- ボックスジャンプ
- ラテラルバウンド
- ドロップジャンプ
バレーボール選手を対象とした14件の研究を分析したメタ解析では、プライオメトリクストレーニングによって垂直跳びが改善し、中程度の効果が認められています。比較的少ない頻度や練習量でも、改善が期待できることが報告されました。
また、2025年のメタ解析では、プライオメトリクスだけでなく、ウエイトトレーニングや、筋力種目とジャンプ種目を組み合わせるコンプレックストレーニングも、ジャンプ力の改善に有効だと報告されています。
参考論文:Ma et al. Effects of Physical Training Programs on Healthy Athletes’ Vertical Jump Height(2025)
つまり、ジャンプ力を高めるためには、ジャンプ練習だけを増やすのではなく、「筋力を高めるトレーニング」と「素早く力を発揮するトレーニング」を組み合わせることが重要です。
なお、バレーボールの練習では、すでに多くのジャンプを行っています。疲労が強い状態でジャンプ種目を追加しすぎると、動作の質が低下する可能性があるため、練習量の調整が必要です。
3.股関節・足首・胸郭の可動性を整える
バレーボール選手にとって、柔軟性や可動性も大切な要素です。
特に確認したい部位は、次の3つです。
足首
足首の曲がる範囲が不足すると、深くしゃがむ動作や着地時の衝撃吸収が難しくなることがあります。
股関節
股関節を十分に曲げられない、伸ばせない、内側や外側へ動かせない場合、助走・踏み切り・着地などの動作に影響します。
胸郭・肩甲骨
スパイクやサーブでは、腕だけでなく胸椎の伸展・回旋や肩甲骨の動きが必要です。胸郭の動きが不足すると、肩や腰へ負担が集中する可能性があります。
ただし、ストレッチで動かせる範囲を広げるだけでは十分ではありません。広がった可動域を、筋力とコントロール能力によって使える状態にすることが重要です。
4.着地と切り返しの能力を高める
バレーボールでは、高く跳ぶ能力と同じくらい「安全かつ素早く着地する能力」が重要です。
着地では、次のポイントを確認します。
- 足首・膝・股関節を使って衝撃を受け止められるか
- 着地時に膝が大きく内側へ入っていないか
- 上半身が過度に前後左右へ崩れていないか
- 片脚でも姿勢を安定させられるか
- 次のプレーへ素早く移行できるか
両脚着地から始め、片脚着地、横方向への着地、ジャンプから切り返す動作へ段階的に進めていきます。
ラテラルシャッフル、クロスオーバーステップ、短距離ダッシュ、リアクショントレーニングなども、守備範囲や切り返し能力を高めるために役立ちます。
5.疲労とジャンプ量を管理する
コンディショニングは、単にストレッチやマッサージをすることではありません。
選手が良い状態で練習を継続し、試合で力を発揮するために、トレーニング量・疲労・睡眠・身体の痛みなどを管理することも含まれます。
特に確認したい項目は次のとおりです。
- 1回の練習で行ったジャンプの量
- 練習後の主観的な疲労度
- 膝・足首・肩・腰などの痛み
- 睡眠時間と睡眠の質
- ジャンプの高さや動作の変化
- 成長期における身長・体重の変化
疲れている選手に、さらに高強度のジャンプトレーニングを追加しても、期待した効果が得られるとは限りません。
選手の状態に合わせて「鍛える日」と「回復を優先する日」を分けることが大切です。
体力測定で成長と課題を確認する
2019年に本記事で紹介したバレーボール部では、次のような項目を測定していました。
- 片手指高・両手指高
- 3回連続ジャンプ
- 9m3往復走
- ブロックジャンプ
- スパイクジャンプ
- 最高到達点
これらを組み合わせ、現場では「バレーボール指数」として選手の変化を確認していました。
これは全国共通の診断基準ではなく、同じ条件で定期的に測定し、選手の成長や課題を確認するための現場指標です。
当時サポートしていたチームでは、複数の選手に数値の向上が見られ、トレーニング中の動きも徐々にスムーズかつ安定していきました。
また、指導日以外にも、選手自身がトレーニングやストレッチへ取り組むようになったことも大きな変化でした。
測定の目的は、順位を決めることだけではありません。
- どの能力が伸びたのか
- どこに課題が残っているのか
- トレーニング内容が選手に合っているか
- 疲労によって能力が低下していないか
こうした点を確認し、次のプログラムへ反映させることが重要です。
2025年にエリート男子バレーボール選手31名を8カ月追跡した研究では、片脚ジャンプ、膝伸展筋力、方向転換能力の左右差と、非接触型の下肢のケガとの関連が報告されています。
ただし、一つの測定結果だけでケガを予測できるわけではありません。痛み、疲労、競技歴、練習量なども含めて総合的に判断する必要があります。
関連記事・実践動画
具体的なトレーニング方法は、次の記事でも紹介しています。
バレーボールのパフォーマンスを高めたい方へ
バレーボール選手に必要なトレーニングは、年齢、ポジション、競技レベル、身体の状態によって異なります。
「ジャンプ力を高めたい」「動きを速くしたい」「膝や足首、肩への負担が気になる」「何を優先して鍛えればよいかわからない」という方は、一度身体の状態を確認することをおすすめします。
B-LEADでは、柔軟性・筋力・ジャンプ・着地・動作の特徴を評価し、選手の課題や競技スケジュールに合わせたトレーニングを提案しています。
大阪でのパーソナルトレーニングをはじめ、チームへの出張指導やオンラインでのサポートについてもご相談いただけます。
現在の身体の状態を確認し、競技で発揮できる「動ける身体」を一緒につくっていきましょう。


