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オーバーヘッドスクワットとは?

オーバーヘッドスクワットは、ダンベルやバーベルを頭上に持ち上げた状態でスクワットするトレーニングです。FMS(ファンクショナル・ムーブメント・スクリーニング)や評価の一貫として実施されるひとつでもあります。
下記のような流れで実施していきます。下記の画像は「評価」の一環として行う実施方法でのご紹介のため、「バー」を持って実施しています。トレーニングとして実践する場合には、バーベルやダンベル、ケトルベルなどを持って実践しましょう。
オーバーヘッドスクワット|理想的なフォーム

- 足は肩幅よりも少し広めに立ち、バーを肩に担ぐ
- バーを頭上に持ち上げながら、下までしゃがむ
- 足底全体が地面に接地した状態でしゃがむ
オーバーヘッドスクワットは、スクワットの中でも難易度が少し高いです。
なぜなら、オーバーヘッドスクワットは通常のスクワットよりも求められる能力・要素が増えるからです。
通常のスクワットでは、「バーベルを肩に担ぐ状態」や「ダンベルを胸の前に持つ状態」で実践されるので股関節や膝関節、足関節の可動性が備わっていれば、正しいフォームで実践することができます。
- 顔が正面を向いているか? *正面
- 第2趾と膝関節中央の向きが揃っているか? *正面
- 太ももが床と並行以下になっているか? *側面
- バーが足部と同一直線上にあるか? *側面
まずは、オーバーヘッドスクワットを「できるか」「できないか」を見つつ、上記のチェック項目に沿って動作を確認していきます。
背中が丸くなってしまって、胸椎が伸展できていない可能性が考えられます。
ただし、決めつけることはできません。もう少し原因を探るためには、踵の下に板などを置きチェックする方法があります。
足関節が底屈位になることで背屈制限の人でも、しゃがみやすくなります。
この方法を実践したときに深くまでしゃがみ込むことができて、顔が正面を向けていれば「足関節の背屈制限」が原因で顔が正面を向けていない可能性が高くなります。
オーバーヘッドスクワット|NGフォーム
膝が内側に入っている

膝が内側に入ってしまう原因には、股関節や足関節の曲げる動きの制限、股関節周りの筋群の機能低下、内転筋群や腓骨筋群が硬くなっている…などが推測できます。
顔が正面を向けていない / 腰や背中が丸くなってしまう

顔が正面を向けない / 腰や背中が丸くなってしまう原因には、股関節や足関節の曲げる動きの制限、胸椎の伸ばす動きの制限、柔軟性不足が考えられます。
それでは次に、この種目を正しいフォームで実践する上で求められる能力・要素について下記にまとめましたので、ぜひ参考にしてみて下さい!
オーバーヘッドスクワット|正しいフォームで実践するために必要な能力
- 足関節の背屈の可動性(機能的な柔軟性)
- 股関節の屈曲の可動性(機能的な柔軟性)
- 体幹部の安定性(腹腔内圧|IAP上昇)
- 胸椎の伸展・肩甲帯の可動性(機能的な柔軟性)
- 肩甲帯の安定性
- 股関節周囲筋群(臀部・大腿部)の筋力
ここに記載されている能力が不足するとエラー動作(代償動作)が現れやすくなります。
①足関節の背屈|②股関節の屈曲の可動性
まずは「足関節」と「股関節」の可動性です。スクワットを実践する上では必ず必要な能力です。それぞれの曲げる動き(背屈・屈曲動作)の可動性が求められます。
オーバーヘッドスクワットでなくても、通常のスクワットやランジなどの下半身の種目において股関節と足関節の可動性はとても重要です。可動性を高めていくには、日々のストレッチや実施前のウォームアップなどが必要で継続して実践することが大切です。
臀筋群の柔軟性を高めるストレッチ(動画)
ハムストリングスの柔軟性を高めるストレッチ(動画)
股関節の動きをチェックする方法(ブログ記事)

③体幹部の安定性
次に「体幹部」の安定性です。これは体幹筋群の「腹直筋」や「内・外腹斜筋」「腹横筋」をはじめ、インナーユニットなどを機能させるような状態です。
インナーユニット(腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群)を機能させて腹腔内圧(IAP)を上昇させると、体幹部の剛性が高まり腰部エリアが安定した状態になります。
さらに、体幹部の安定性を高めた上でスクワットすると、安定した動作で各関節も動かしやすくなり、正しいフォームでのスクワット動作を実践していくことに繋げていくことができます。
体幹部の安定性を高めるためには、脊柱や胸郭、骨盤のポジション(姿勢)、必要最低限の動き、周辺の機能を適正化させることが必要です。ポジションが適正化されると、周辺の機能も正常に機能しやすくなり、インナーユニットも機能しやすい状態を作ることできます。
また、スクワット実践前のウォームアップの段階では、体幹部に負荷を与えるような下記動画の内容もおすすめです!
体幹部を活性化させるトレーニング(動画)
④胸椎の伸展・肩甲帯の可動性
胸椎の伸展動作(胸を張る動き)です。オーバーヘッドスクワットでは、必要な能力です。
胸椎の伸展の動きは、肩全体の動きと深い関係性があるため、肩を動かすような上半身の種目では必ず必要な要素です。オーバーヘッドスクワットでは、胸椎の伸展ポジションを維持したまま、バンザイし、スクワット動作を実施していきます。
胸椎の伸展の可動性が不足している人に向けて是非やってほしいストレッチ・エクササイズもまとめています!是非やってみて下さい!
胸椎の可動性を高めるストレッチ(動画)
胸椎の動きをチェックする方法(ブログ)


⑤肩甲帯の安定性
続いては、肩甲帯の安定性です。バーベルやダンベルを使用して実践する場合には、肩甲帯の安定性も大切な要素になります。
評価で軽めのバーやスティックを持って実践する程度であれば、そこまで必要ないかと思います。
肩甲帯の安定性を高めるためには、肩関節のポジション(姿勢)の修正・改善、肩甲帯周辺の機能低下している筋群の活性化が必要です。巻き肩や猫背、肩がすくんでいる姿勢は、肩の不安定さが増す要因となります。
安定性を高める上でやってほしいエクササイズも紹介しています。肩甲骨や胸椎のストレッチと合わせてぜひやってみて下さい。
肩甲帯の安定性を高めるエクササイズ
⑥股関節周囲筋群の筋力
ラストは、股関節周囲筋群の筋力です。スクワット動作では、股関節の後ろ側に位置する大殿筋や中殿筋が適切に機能しているかがポイントです。
しゃがむ動きの中で臀筋群を使えるようにするためには、「股関節の可動性を高めること」と「臀筋群が活性・機能する状態であること」が必要となります。
股関節の可動性を高めた上で臀筋群をアクティベーションさせるエクササイズ・トレーニングを実践することで使える状態にしていくことができます。
股関節ストレッチ&臀筋群アクティベーション
オーバーヘッドスクワット|参考動画
この記事のまとめ&最後に
- オーバーヘッドスクワットは「トレーニング」としても「評価」としても実践されている種目
- 両手(腕)を頭上にバンザイする分、通常のスクワットよりも胸郭や肩甲骨の可動性、肩甲帯や体幹部の安定性が求められる種目
- まずは下記の4つの項目をチェックしよう!
- 顔が正面を向いているか? *正面
- 第2趾と膝関節中央の向きが揃っているか? *正面
- 太ももが床と並行以下になっているか? *側面
- バーが足部と同一直線上にあるか? *側面
- オーバーヘッドスクワット|正しいフォームで実践するために必要な能力
- 足関節の背屈の可動性(機能的な柔軟性)
- 股関節の屈曲の可動性(機能的な柔軟性)
- 体幹部の安定性(腹腔内圧|IAP上昇)
- 胸椎の伸展・肩甲帯の可動性(機能的な柔軟性)
- 肩甲帯の安定性
- 股関節周囲筋群(臀部・大腿部)の筋力
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